屋根や屋上と同様に、ベランダやバルコニーも、風雨にさらされ太陽から紫外線を受けて劣化し、ひび割れしたり剝がれてしまったりします。すると、防水力が低下してしまい、雨水が室内に侵入し、建物の内部にカビや錆が生じるので、建築構造自体が脆くなってしまうこともあるでしょう。こうしたリスクを回避するため、ベランダやバルコニーには、定期的に防水工事を施す必要があります。

ベランダには防水には、防水層の上に保護モルタルで仕上げた時と防水層が露出で仕上げている時があります。
保護モルタル仕上げ時、モルタルのひび割れで直接防水層に影響があるとは言えませんが、一つの目安にはなると思います。防水層が露出で仕上げている時は、ひび割れやめくれは直接漏水への可能性があり早急な対応が必要と思われます。

防水層には大きく分け、塗膜系防水（ウレタン防水・ＦＲＰ防水等）とシート系防水（
塩ビシート防水・ゴムシート防水等）とアスファルト系防水（熱アスファルト防水・改質アスファルト防水等）があります。

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布することにより化学反応を起こし、ウレタン防水層を形成するものです。FRP防水は、Fiber Reinforced Plastics（繊維強化プラスチックス)の略称で、グラスファイバーマットをポリエステル樹脂等でプラスチック素材の防水層を形成するもので現在の新築住宅で用いられるのが主流です。
塩ビシート防水は、塩化ビニール樹脂をシート状にしたシートで、密着工法と機械固定工法があり改修工事では、下地の影響を受け難い機械固定工法が主流になっています。ゴムシート防水は、密着工法が主流で新築時に安価でされる事が多いです。
熱アスファルト防水は、新築時の用いられるのが主流で、保護モルタル仕上げ時や屋上等で人があまり上がらない所に露出工法で用いられ、改質アスファルト防水は、塗膜系・シート系がありますが、下地がアスファルト系防水の上に改修するのが主流です。

ベランダ防水工事を施すタイミングとしては、まず雨漏りが生じた場合と言えるでしょう。雨漏りが起きるのは、ベランダの防水層が機能を喪失している明確な証拠となります。雨漏りが無くても、防水層のひび割れや剥がれが見つかった時には、防水工事を施さなければなりません。

特に防水層のひび割れが生じている場合は、雨水が建物の内部に侵入して建物に深刻なダメージを与える恐れがあるので、速やかに防水工事を行いましょう。また、ひび割れが無くても、窪みや排水溝付近に雨水が溜まるようになったら要注意です。

頻繁に水溜まりができると、沈殿物の上に藻や植物が繁殖してしまうことすらあります。藻や植物は根を張ってコンクリートをも破壊してしまう事があるため、早急に対応しなくてはなりません。

防水膜がめくれあがったり膨らんだりしている際にも、劣化が進んでいる証拠と言え、直ちに専門業者に点検してもらう必要があります。可能なら、塗膜の表面に摩耗や色褪せの兆候が現れたら、早めに防水素材の上塗りをして防水効果を高めておくことが好ましいでしょう。

防水層は、10年から15年ほど経過したら、防水工事を施すことが望ましいでしょう。防水層に不具合がある状態で梅雨時期や台風時期を迎えると被害が大きくなるので、早めの対策が必要と思います。

ベランダやバルコニーは、屋根と異なり、比較的点検しやすい箇所です。ひび割れや膨らみなどの瑕疵がないかこまめに点検し、小さな亀裂でも見つかれば速やかに業者に相談しましょう。早めに補修工事を施した方が、費用を安くおさえられます。

防水工事には、ウレタン防水やFRP防水など複数の種類があるので、自宅のベランダやバルコニーに適した工法を選びましょう。